コラム
子犬の避妊・去勢手術はいつがおすすめ?
適切な時期・メリット・よくある質問を獣医師が解説
2026.09.09 犬について
「避妊手術や去勢手術はいつ受ければいいの?」
子犬をお迎えした飼い主様からよくいただくご質問のひとつです。
避妊・去勢手術は、望まない妊娠を防ぐだけでなく、将来の病気予防にも繋がる大切な手術です。
今回は、避妊・去勢手術を受ける適切な時期やメリット、よくあるご質問について分かりやすくご紹介します。
避妊手術・去勢手術とは?
避妊手術(女の子)
卵巣のみまたは卵巣と子宮を摘出する手術です。
去勢手術(男の子)
精巣を摘出する手術です。
どちらの手術も全身麻酔下で行います。
手術はいつ受けるのがベスト?

手術を受ける時期
避妊・去勢手術を受ける時期は、犬種や性別、体格、成長の程度などによって異なります。
一般的な目安としては、
小型犬:生後5~6か月頃
中型犬:生後6~9か月頃
大型犬:生後9~15か月頃(成長が落ち着いてから)
に手術を検討します。
ただし、近年では避妊・去勢手術を行う時期によって、将来の関節疾患や一部の腫瘍などの発生リスクが変化する可能性が報告されています。
特に大型犬では、成長が落ち着いてから手術を行うことが適している場合があります。
そのため、「生後○か月になったら必ず手術する」と一律に決めるのではなく、
犬種・性別・体格・成長の状態などを確認しながら、その子に適した時期を相談して決めることが大切です。
女の子では初めての発情前がひとつの目安
女の子の避妊手術では、初回発情前に手術を行うことで、将来の乳腺腫瘍の発生リスクを低減できる可能性があるとされています。
一方で、適した手術時期は犬種や体格などによっても異なるため、初回発情前に一律に手術を行うのではなく、その子に合わせて時期を検討することが大切です。
発情が始まる時期には個体差がありますが、多くは生後6~10か月頃です。
そのため、避妊手術を検討されている場合は早めのご相談がおすすめです。
避妊手術のメリット
乳腺腫瘍のリスク軽減
若齢での避妊手術により、将来の乳腺腫瘍の発生リスクを低減できる可能性があります。
子宮蓄膿症の予防
高齢になると発症しやすい病気で、命に関わることもあります。
卵巣・子宮の病気を防げる
卵巣腫瘍や子宮の病気の予防につながります。
発情によるストレス軽減
発情期の出血や落ち着きのなさを軽減できます。
去勢手術のメリット
精巣腫瘍の予防
精巣を摘出するため発症しません。
前立腺疾患のリスク軽減
前立腺肥大など、加齢とともに増える前立腺疾患のリスクを下げます。
会陰ヘルニアのリスク軽減
お尻の筋肉が弱くなり、腸や膀胱が出てきてしまう会陰ヘルニアの発生を減らすことができます。
マーキング行動の軽減
若いうちに手術を行うことで、尿マーキングが軽減する場合があります。
発情によるストレス軽減
メス犬を探して落ち着かなくなる行動を抑えられることがあります。
手術前に知っておきたいこと

避妊・去勢手術はメリットの多い手術ですが、全身麻酔を使用するため事前検査が必要です。
手術当日は絶食・絶水が必要になる場合があります。
詳しくは事前にご案内します。
また、手術後は代謝が変化し、太りやすくなることがありますが、食事量や運動量を調整することで、体重増加を予防することができます。
よくあるご質問(Q&A)

Q1. 避妊・去勢手術はいつ受けるのがおすすめですか?
A.
一般的には、生後6か月頃から1歳頃までが目安ですが、犬種や体格、成長の様子によって適した時期は異なります。
大型犬では骨や関節の発育を考慮して、少し遅めに行う場合もあります。
当院では一頭一頭に合わせて、適した時期をご提案しています。
Q2. 手術後は太りやすくなりますか?
A.
手術後はホルモンの変化により代謝が変わるため、以前より太りやすくなることがあります。
ただし、食事量や運動量を調整すれば十分に予防できます。
当院でも体重管理についてアドバイスしています。
Q3. 全身麻酔は安全ですか?
A.
全身麻酔には一定のリスクがありますが、事前に身体検査、血液検査やX線検査などを行い、安全に麻酔を行えるか確認したうえで手術を実施します。
健康な若い犬では麻酔のリスクは比較的低いとされていますが、当院では安全管理を徹底しています。
Q4. 手術をすると性格は変わりますか?
A.
基本的な性格が変わることはありません。
発情に伴う落ち着きのなさやマーキングなどが軽減することはありますが、「甘えん坊になる」「元気がなくなる」といった性格そのものが変わるわけではありません。
Q5. 日帰りで帰れますか?
A.
多くの子犬では日帰り手術が可能です。
ただし、体調や手術内容によっては一泊入院をおすすめする場合があります。詳しくは診察時にご説明いたします。
Q6. 1歳や3歳を過ぎていても、避妊・去勢手術はできますか?
A.
はい、1歳や3歳を過ぎていても避妊・去勢手術を受けることはできます。成犬になってからでも、健康状態に問題がなければ手術を行うことは可能です。
若いうちに手術を行うことで予防効果が高まる病気もありますが、成犬になってからでも、子宮蓄膿症や精巣腫瘍などの病気を予防できるメリットがあります。
「もう遅いかも」と思わず、避妊・去勢手術を検討されている場合はお気軽にご相談ください。
まとめ
避妊・去勢手術は、望まない妊娠を防ぐだけでなく、将来のさまざまな病気の予防にもつながります。
一般的には生後6か月頃から検討を始めることが多いですが、適した時期は犬種や体格、成長の状態によって異なります。
避妊・去勢手術の時期で迷われた際は、お気軽に当院までご相談ください。
WRITER
今井 勇太郎 JAHA認定総合臨床医
ヒイラギ動物病院 院長・獣医師
2025年4月に神戸市中央区でヒイラギ動物病院を開院。犬・猫はもちろん、ウサギやハムスター、フェレット、小鳥、爬虫類などのエキゾチックアニマルまで幅広く診療しています。
「大切な家族に、安心して相談できる動物病院でありたい」という思いのもと、一頭一頭に寄り添った丁寧な診療を心がけています。JAHA認定総合臨床医として総合診療を軸に、眼科・消化器・皮膚科・エキゾチックアニマル診療にも力を入れ、分かりやすい説明と納得いただける医療の提供に努めています。