コラム
元気な子犬にも健康診断は必要?
受診時期と初診でチェックする8項目
2026.09.30 犬について
「元気に遊び、ごはんもしっかり食べているから、健康診断はまだ必要ないかな?」
と思われる飼い主さまもいらっしゃるかもしれません。
しかし、子犬は成長が早く、見た目だけでは分からない病気や体の異常、寄生虫感染などが隠れていることがあります。
健康に成長するための第一歩として、お迎え後は早めに健康診断を受けることをおすすめします。
なぜ子犬に健康診断が必要なの?

子犬は体や免疫機能がまだ発達の途中です。
また、生まれつきの病気や体の異常が初めて分かることもあります。
健康診断には、次のようなメリットがあります。
・現在の健康状態や成長の様子を確認できる
・生まれつきの異常や病気を早期に発見できる
・ワクチンや寄生虫予防のスケジュールを立てられる
・食事、歯みがき、しつけなどを相談できる
・今後の健康管理の基準をつくることができる
特にお迎えして間もない時期は、環境の変化によるストレスで体調を崩しやすいため、元気そうに見えても一度受診しておくと安心です。
初診ではどんなことをチェックするの?

(1)体重と体格
まず体重を測り、痩せすぎや太りすぎがないか、順調に成長しているかを確認します。
犬種や月齢、現在の体格を考慮しながら、フードの種類や1日の食事量についてもアドバイスします。
(2)全身の健康状態
心臓や肺の音を聴き、心雑音、不整脈、呼吸音の異常などがないかを確認します。
さらに、皮膚や被毛、目、耳、鼻、口の中、リンパ節などを診察します。
骨格や関節の状態、歩き方も確認します。
子犬では、膝蓋骨脱臼、臍ヘルニア、乳歯や噛み合わせの異常、男の子では停留精巣などが見つかることがあります。
(3)お腹の触診
お腹をやさしく触り、痛みや張り、しこりなどがないかを確認します。
子犬では消化器症状も多いため、食欲、嘔吐の有無、便の回数や硬さについてもお伺いします。
(4)歯と噛み合わせ
乳歯の生え方や本数、噛み合わせを確認します。
噛み合わせの異常によって、歯が歯茎や口蓋に当たり、痛みや傷の原因になることがあります。
また、将来の歯周病予防のため、子犬のうちから口元に触れる練習を始めることも大切です。
(5)耳の状態
耳の中の汚れ、赤み、においなどを確認します。
垂れ耳の犬種や外耳炎になりやすい犬種では、日頃の観察方法やお手入れについてもご説明します。
(6)便検査
子犬では、母犬から感染したり、ペットショップやブリーダー施設などの生活環境で感染したりして、お腹の寄生虫が見つかることがあります。
感染していても症状がほとんど出ない場合があるため、お迎え後の健康診断では便検査をおすすめしています。
便検査で見つかる主な寄生虫
・ 回虫(かいちゅう)
子犬でよくみられる寄生虫の一つです。
胎盤や母乳を介して感染することがあり、下痢、嘔吐、お腹の膨らみ、発育不良などを引き起こします。
多数寄生すると腸閉塞の原因になることもあります。
・ 鉤虫(こうちゅう)
小腸に寄生して吸血し、下痢、血便、貧血、元気消失、体重増加不良などを引き起こします。
特に幼い子犬では重症化することがあります。
・ 鞭虫(べんちゅう)
大腸に寄生し、慢性的な下痢、粘血便、体重減少などを引き起こします。
感染初期や寄生数が少ない場合は、症状が目立たないこともあります。
・ ジアルジア
顕微鏡でなければ確認できない小さな原虫です。
多頭飼育環境などで広がりやすく、軟便や水様性下痢を繰り返すことがあります。
再感染を防ぐため、治療とあわせて生活環境の衛生管理も重要です。
・ コクシジウム
子犬で比較的よくみられる原虫です。
下痢、血便、食欲低下、脱水などを引き起こし、幼い子犬では体力を大きく消耗することがあります。
便検査を受けるときのポイント
寄生虫の中には、人にも感染するもの(人獣共通感染症)があります。
また、寄生虫の種類や排泄のタイミングによっては、1回の便検査で見つからないこともあります。
症状が続く場合は、再検査や追加検査をご提案することがあります。
受診当日に採取した、できるだけ新鮮な便を乾燥しない容器や袋に入れてお持ちください。
すぐに持参できない場合は、密閉して冷蔵保存し、採取した時刻をお知らせください。
(7)ワクチン接種歴の確認
これまでに接種したワクチンの種類、回数、接種日を確認し、月齢や生活環境に合わせて今後の接種スケジュールをご案内します。
ご来院の際は、ペットショップやブリーダーから受け取ったワクチン証明書などをご持参ください。
(8)ノミ・マダニ・フィラリア予防の相談
子犬にも寄生虫予防は大切です。
ノミやマダニは皮膚トラブルを起こすだけでなく、さまざまな病原体を媒介します。
蚊が媒介するフィラリア症も予防が非常に重要です。
月齢、体重、生活環境に応じて、安全に使用できる予防薬と開始時期をご提案します。
飼い主さまからよくあるご相談

健康診断では、診察や予防だけでなく、子犬との生活についてもご相談いただけます。
・フードは何を選べばよい? 1日何回、どのくらい与える?
・おやつはいつから与えてよい?
・お散歩やほかの犬との交流はいつから始められる?
・甘噛みにはどう対応すればよい?
・トイレトレーニングがうまくいかない
・歯みがきや爪切りに慣れてもらうには?
初めてわんちゃんを迎えたときは、分からないことや不安なことがたくさんあります。
小さなことでも遠慮なくご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)

Q1. 子犬をお迎えしたら、いつ健康診断を受ければいいですか?
A.
元気や食欲に問題がなくても、お迎え後はできるだけ早めに一度健康診断を受けることをおすすめします。
健康状態を確認するだけでなく、便検査やワクチンの接種歴、今後の予防スケジュールなどを確認することができます。
Q2. 元気そうでも健康診断は必要ですか?
A.
はい。子犬では、見た目には元気でも、生まれつきの体の異常やお腹の寄生虫などが見つかることがあります。
また、成長期から体重や体格を確認しておくことで、その後の成長や健康状態の変化にも気づきやすくなります。
Q3. 健康診断には便を持っていったほうがいいですか?
A.
はい。子犬では症状がなくてもお腹の寄生虫が見つかることがあるため、お迎え後の健康診断では便検査をおすすめしています。
受診当日に採取した、できるだけ新鮮な便を乾燥しない容器や袋に入れてお持ちください。
すぐに持参できない場合は、密閉して冷蔵保存してください。
Q4.ワクチンがすべて終わっていなくても受診できますか?
A.
はい。ワクチン接種が完了していなくても健康診断を受けることができます。
これまでに接種したワクチンの種類や回数、接種日を確認し、月齢や生活環境に合わせて今後の接種スケジュールをご案内します。
ペットショップやブリーダーから受け取ったワクチン証明書などがあれば、ご来院時にお持ちください。
Q5. 健康診断は一度受ければ十分ですか?
A.
子犬は短期間で大きく成長するため、一度の健康診断だけでなく、ワクチン接種などの機会に体重や体格、歯の生え変わりなど成長の様子を確認していくことが大切です。
その後も定期的に健康状態を確認し、気になる変化があれば早めにご相談ください。
まとめ
子犬の健康診断は、病気を見つけるだけでなく、その子に合った予防や健康管理を始めるための大切な機会です。
見た目には元気でも、生まれつきの異常や寄生虫感染が見つかることがあります。
お迎え後は早めに受診し、健康状態、便検査、ワクチン接種歴、今後の予防について確認しましょう。
その後もワクチン接種などの機会に成長を確認し、気になる変化があれば早めにご相談ください。
WRITER
今井 勇太郎 JAHA認定総合臨床医
ヒイラギ動物病院 院長・獣医師
2025年4月に神戸市中央区でヒイラギ動物病院を開院。犬・猫はもちろん、ウサギやハムスター、フェレット、小鳥、爬虫類などのエキゾチックアニマルまで幅広く診療しています。
「大切な家族に、安心して相談できる動物病院でありたい」という思いのもと、一頭一頭に寄り添った丁寧な診療を心がけています。JAHA認定総合臨床医として総合診療を軸に、眼科・消化器・皮膚科・エキゾチックアニマル診療にも力を入れ、分かりやすい説明と納得いただける医療の提供に努めています。